看護師の離職事情が深刻なわけ

慢性的な人手不足が続く世の中において、特に就労者の確保が急いで行われている職種の一つが看護師である。その背景には、看護師特有の3つの理由による離職事情がある。理由の1つ目は、看護師が、常にスキルアップやキャリアアップを求められる仕事であるということである。医療の進歩は目まぐるしく、常に変化に対応し続けなければ、自らの価値を維持することは容易ではない。そのため、看護師は常により一段レベルが上の職場を求めて離職するというインセンティブが働きやすいのだ。

次に2つ目の理由だが、1つ目の理由とは逆に看護師は拘束時間が長いために、ワークライフバランスとの両立が困難ということである。特に、出産や育児などの負担が重い女性にとっては悩ましい問題となっており、働き続ける意志はあるにもかかわらず、時間を確保できないために仕事を辞めざるを得ないという状況が生じやすい。もっとも、この点については短時間労働などが取り入れられてきており、状況は改善しつつある。

最後の3つ目の理由は、職場での人間関係が複雑だということである。医療の現場には医師や患者など全く異なる立場にいる人が数多く登場することから、それら全ての人と良好な人間関係を築くには高度なコミュニケーション能力が必要となる。そのため、うまくいかない場合には日々ストレスを抱えることとなり、耐えきれなくなった看護師が離職を余儀なくされているというケースが見受けられる。